かつてはこの地で、桜山神社の春の大祭に満開の桜の花にかこまれて、毎年草競馬が催されました。このときに出走する馬は、日頃荷車を曳いている馬ばかりでしたが、この日ばかりは色とりどりの腹かけをして、ビールを景気づけに飲まし、その勢いで走らせたということです。
見物人は、張り周らされた竹矢来の外で盛んに声援を送りました。場外では、様々な出店が立ち並び、大変な賑わいであったと、近隣に住む古老は昔日をなつかしそうに話してくれました。この競馬場は、幕末のときには奇兵隊士の調練場であったと伝えられているところで、この広場をとりまく周囲には、松や桜が植えられていました。記録によれば大正2年(1913)三月、二百本の桜が植えられていたということです。